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荒野の一ドル銀貨―ブログ版
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平凡なひつじです。
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2005.11.28.祭後(二)
■ギターだけの悪夢トリオ(TOO MUCH GUITAR!)

かれこれかんがみてみると、三日目のこのトリオがいちばん上首尾だったように思える。正確に言うなら、本編を披露する直前の、曲紹介のバックで弾いた『In A Sentimental Mood』が、だ。

これは『意味無いじゃん』とともに入部当初からいつかやりたかった曲で、少し無理を言ってこのトリオでやらせてもらった。本当はバラードの曲なのだけど、少し速めのシャッフルで、そしてブルースを込めて弾いた。

しんとした会場に、旋律が吸い込まれてゆく。
ぞっとするほど恐ろしく、またここちよい。
ベースもピアノもドラムもいない。
薄い伴奏だけを下地に、音が足元から浮かび上がって、消える。

隔離独奏を余儀なくされた二日前と、似ているようで何もかも違っていた。綱渡りのロープの上を駆け抜けるようだった。テンポは御機嫌、けれど音は最小限しか鳴らない。楽曲はこの手の中にあって、じぶんの奏でるほんのひとしらべで何もかも台無しにできるあやうさと、譜面を走り抜ける楽しさ。怖くて仕方がない。楽しくて仕方がない。いつまでも弾いていたい。恐怖と快楽が溶け合った。

わずか三分にも満たない、共弾したIモチさんの助け舟のおかげでようよう終われたテイクではあった。けれど、四年というもの、ジャズ研究会というところにおいて「ジャズ」で褒められたことが殆どないわたしが、たぶん最も音楽を弾けた瞬間であったと思う。でも。

「さほど『よかった』との噂は聞かれませぬが。」

静かな声だった。

先日ちょっ、とした知り合いにその旨報告した際の御返辞である。
常にも増して痛いところを言うのである。胸を突かれた。

気にはしていたのだ、それは。ブログだのHPだの、知人のサイバースペースのどこかしこを見ても、「おもしろかった」という不本意な感想こそあれ、確かに賛辞は寄せられていないのだ。

いったいどういうことだ。ここを褒めずしていったいいつ褒めるというのか。

Iモチさんのいえーなプレイ、トシミツさんに借りた名ギター、ユビが擦り切れるほど弾いた前夜までの隠れリハーサル、間違いなくベストのテイクだったのに。

腹に据えかねるので、断固として証拠物件を提出することにした。MDをダビングして差し上げてやれ。聴衆の記憶はもうとっくに霞んでしまっているだろうから、その耳に訴えるしかなかろうというものだ。

思えば、この人には褒められた記憶がまるで無い。一緒にケーキでもつけておけば少しは甘口になるだろうか。こうなったら茶も添えよう。それにしても「袖の下」がケーキだとクリームがついて、嫌だな。和菓子はその点、よく出来てるな。

と、どうでもいいことをくよくよ思って、もう冬が来ている。

ちなみにその後の本編『地中海のサンダンス』は、ドラム・ベース無しバンドの醍醐味を遺憾なく発揮した出来となった。

事前に、同じ楽器が三人に和音進行そのものは簡単なので、飽きられぬためには構成にひと工夫せねば、と話し合ってはいた。<イントロをうつくしく合奏したのち、一人が旋律を奏で、残りの二人がなるべく控えめに、かつ徐々に盛り上げながら伴奏をつとめ、高揚と沈静とを巧みに織り交ぜつつ、なめらかに交代してゆく>というテハズを決めておいていたのだ。

けれど、野球のへぼ守備が外野フライを譲り合ってすとんと落としてしまうがごとく、互いを尊重しすぎた伴奏が一瞬どちらも消え去る瞬間があったり、噛み合わない伴奏のために小節線がカスミのようにあいまいになったり、序盤でクライマックスのごとく(わたしが)盛り上がってしまったり、と、楽曲はじつに自由きままに狂い流れてゆく。

後半、テキノさんとIモチさんの二者が感動的なギターバトルを展開し始めたとき、伴奏がまたも消えた。厚く会場を覆っていた和音の消失、緊張、とどろくギターバトル。部長をして「あすこぁかっこよかった」と言わしめた劇的な空間だ。

伴奏者(わたし)は見失っていただけだった。

色気を出して、二拍目裏・三拍目裏などにずじゃらんと和音を鳴らしていたら、いつのまにか何がなんだかわからなくなった。それでやむをえず静止したまでのことだ。ただそんな際にも極力表情には出さない。「共演者のプレイに感極まってしばし手を休めている」フリをしていさえすればよい(この演技力もやはり苦難の挙句に培われた)。

その後、なんとか無事楽曲に復帰したわたしは天も裂けよと弦を打ち鳴らし、総員、少し息も切れてきたか、という辺りで破綻なく終われた。緩急の調整、独奏部の細かな出来には悔やまれる箇所もあるのだけど、拍手が来るか崩壊するか、五分の賭けだと思っていた。上首尾ではあったのだ。この点も主張せねば。


ただもう一度やりたいかと言われれば返答には窮する。峠ではあった。
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